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どんなときでも「愛して食べて歌って笑って」しまおう!独断と偏見によるオススメを毎日更新して行く…予定だったけど挫折中。
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これは中日新聞社の「マスコミ志望の理由」というテーマで
課せられた作文で提出したものです。
載せてみました。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

声を聴いた瞬間、ゾクッと全身が震えた。
気付くと熱いものが頬を伝っていた。
強く何かを叫ぶように、いつまでも涙は止まらなかった。

先日ベトナムのエイズホスピスを訪れ、エイズ患者に出会った。
浅黒い笑顔に、愛くるしい八重歯が光る。
ギターが好きで、様々な歌を歌っていた。
ベトナム語なので何を言っているか全く分からない。
しかし、彼の声は優しくて甘くて、それでいて力強い。
車椅子の上の小さな体はとても大きく見える。
人生の全てを諭すようで、普段なら無味乾燥に聴こえてしまう
戦争反対の歌も、異様な説得力があって心に染み渡った。

彼には両脚がない。
エイズを苦にして投身自殺を図り両脚を失った。
若い頃は裕福な家庭で育ち、法に触れることも数多くやってきた。
深い歌声と屈託のない笑顔には、
酸いも甘いも噛み締めた人生が背景にあった。
さらに、明日が来るかさえ分からない、
頼りない生活を考えると、
再び目頭が熱くなった。

世界は広い。
この世の全てに直接触れるのは困難だ。
だからこそ、
未知と遭遇したくて自分の見た景色に共感してほしくて、
情報を共有したくなる。
ベトナムやイラクの戦争で散った多くのジャーナリストの命も、
知的探究心と責任感に突き動かされていたのだろう。

それまでは「ベトナム」という単語でしか
認識できていなかった世界だった。
どんな人が住み、何に感動し、何に苦しんでいるか想像もつかなかった。
実際は人の温もりと欲望が混じり合う、混沌の世界だった。
エイズホスピス以外にも、パン屋のおばさんや、
枯葉剤の影響を受けた障害児、現地の大学生、
バスの中ではスリにまでも出会った。

僕が直に見られる世界も限られている。
それでも、目で見て肌で感じる自分なりの真実を、
少しでも多くの人々に共有してもらいたい。

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